畑開墾_回想
2015.11.21
初めて「畑」を作りたいと思ったのは4年前のことだった。

そう、私が思ったのは「畑」、野菜や作物では無く畑を作ってみたいと思ったのだ。
明確な理由は無かった様に思うが、もしかしたら東日本大震災の影響があったかも知れない。
そこで妻が丹精こめている花畑の一角を空けてもらえないかと聞いたところ、軽く一蹴された。
「無理無理、畑のことなんか、な~んにも知らないでしょう」だって。
確かに非農家の生まれの私には、畑を作ったり耕したり、作物を作った経験は全く無い。
妻だって無いはずだが、30年以上に渡る草花を育てて来た知識と実績は認めざるを得ない。

次の年、再び花畑の一隅に畑を作らせてもらえないかと聞いたところ、「何作るの?」
「お、とりあえず話を聴いてくれそう」と思って必死にプレゼンした結果、「いま、移動できるのはここだけ」と言って、花畑のど真ん中を空けてくれることになった。

このど真ん中の位置というのは、他の花に傷を付けずに出入りするのが難しいため、何だか文句を言われそうだと思いつつも気の変わらない内にと、急いで作業を行うことにした。
先ず、妻が畝として作る部分にある必要な花を、鉢上げしたり植え替えを行った。
その終了を待って畝部分の土(山砂)を掘り出し、バケツに入れて駐車スペースまで運ぶ。
駐車スペースにはベニアを敷き、ふるいに掛けて球根や小石、土塊を除いた土を山にする。
そこに腐葉土・堆肥をスコップで力任せに混ぜ込み、バケツで畝に戻す作業を延々行った。
途中で放棄しようかとも思ったが、妻に何を言われるか分からないし、これ以上、頭が上がらなくなるのはまずい。
1m×2m程の畝だが、たっぷり丸2日間もかかってしまった。

私は、すぐにも種を買って来て蒔こうと思ったが、「すぐは駄目だ」と妻が言う。

「まず、苦土石灰を撒いてから少なくとも1週間、出来れば2週間我慢すること」だそうだ。
「クドセッカイって何だ?徳川家康の厭離穢土みたいな石灰か」と思ったが、何だか分からん。
どうやら、雨によって酸性化された土壌を中性化するために使用するものらしい。

「じゃ、買いに行こう」と思ったら「物置(自作2号 1.25坪)に有る」という。
妻に実演してもらって2週間、途中で雨が降るのを楽しみしながら待ちに待った。

2週間経って、蒔いたラディシュの種(実際には妻が蒔いた)。
芽が出たと思ったら、あっという間にダンゴ虫たちの餌食になってしまった。
これには意気消沈し、後に何をどうするのかなどと考える気力もなくなってしまった。

しかしそこは、土いじりに慣れた妻がいる。
ナスの苗2本とミニトマトの苗一本を買ってきて、手際よく植えつけた。

結果はなかなかの豊作で、これに気を良くした私は次の年にはさらに畝を増やすこととなった。

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