確認申請 法令確認
2015.12.08
小屋の建築に当たり、改めて関係法令を確認してみたところ、重大な認識の誤りを発見した。
これは小屋の築造の可否にかかわる、致命的と言って良いほどの大きな誤りだった。

発端は、自分の入手した土地が都市計画区域内にあることもあり、改めて自分の目できちんと一から調べておこうという気になったからだ。
先ず、建築基準法6条を確認してみた。
「建築物の建築等に関する申請及び確認」と言う条文。
1項に確認申請の必要なものが列挙され、2項において適用除外についての条文「前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。」と書かれてある。
要するに「例外的に確認申請を要しないのは10平方メートル以内の増築、改築または移転しようとする建築物」だけだと書いてあるのではないか?
言い換えれば「私の都市計画区域内に所有する土地で小屋を新築する場合、それがわずか1平方メートル以下であろうとも確認申請が必要だ。」と言うことだ。
しかも建築物とあり、それが住宅だとか物置だとか、あるいは犬小屋だと言った用途についの言及は無い。
ちなみに建築物とは、基準法第二条第一項に「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)云々」と書いてある。
これを見れば、犬小屋は土地に定着していないから建築物では無いと見るか、逆に犬小屋であっても類する構造のものだから定着させなければならないと読むか、どちらとも解釈できる様に思えてしまう。
還暦過ぎまでのほほん生きてきて、いまさら違法だなどと難癖をつけれそうなことなどはやりたくない。

正々堂々と確認申請を行って通知書を受け取ろうと思い、それならいっそのこと開き直って10平方メートル超の小屋を計画(ちなみに私は、35年ほど前に25㎡ほどの、15年程前に20㎡程の小屋を都市計画区域外に作ったことがあり、腕に自信はある。)
してやろうと思ってさらに調べてみると、さらに面倒な告示というやつが出てきた。

建設省告示第1347号(平成12年5月23日)「建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件」というのだそうな。
内容を簡単に言うと「建築物の基礎は布基礎またはべた基礎でなければならない。」ということが書かれてある。シンプルなセルフビルドの小屋に、無粋な布基礎やましてや大嫌いなべた基礎などは似合わないと思うし、そもそもそんな金の出どころが無い!
幸い、これにもただし書きがあり「令第42条第1項ただし書の規定により土台を設けないものに用いる基礎である場合」というのが書かれている。

んじゃ、令42条2項って何だろうと調べてみると・・・
建築基準法施行令42条1項(土台及び基礎)「構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。ただし、当該柱を基礎に緊結した場合又は平家建ての建築物で足固めを使用した場合(地盤が軟弱な区域として特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内においては、当該柱を基礎に緊結した場合に限る。)においては、この限りでない。
2 土台は、基礎に緊結しなければならない。ただし、前項ただし書の規定によって指定した区域外における平家建ての建築物で延べ面積が50平方メートル以内のものについては、この限りでない。

面倒な文書はざっくり端折り、必要なただし書き部分だけ書き抜くと、1項では「当該柱を基礎に緊結した場合又は平家建ての建築物で足固めを使用した場合においては、この限りでない。」
また、2項には「平家建ての建築物で延べ面積が五十平方メートル以内のものについては、この限りでない。」とあった。
私の計画する10平方メートル以下の小屋(50平方メートル以内の平屋の建物)については、このただし書きによって布基礎またはべた基礎としなくとも良いと書いてある訳だ。
この1項と2項の二つを合わせて要すれば「私の計画する10平方メートル以下(<50平方メートル以下)の平屋建ての小屋については、足固めをすれば独立基礎でも良い。」と言うことになると思われる。

そうなると、残る問題は一つ。構造をどうするかだけ。基本的に足固めという考えは軸組工法の考え方であり、プラットホームに適用されるかどうか?ということ。
適用されなければ計画は軸組で行わなければならず、軸組工法は出来なくは無いが施工が面倒になるということ。
プラットホーム工法の便利さを知るだけに、今さら軸組工法なんて・・・

少なくとも最悪の場合の想定(軸組工法で確認申請)が出来たので、それからプラットホームを足固めとして認めてもらえるかの一点に集中できる。ずいぶん気は楽になった。

それにしても思うのは、全国のセルフビルドでの小屋暮らしの皆さん、あるいはこれから計画をしている皆さんは、この基礎の問題をどの様に解決されているのでしょうか?
これには、都市計画区域の内外が書かれていない以上、どんな山の中にあってもすべての建築物の基礎に適用されることだと思いますので、厳格に適用されると既存不適格建築物の烙印を押され、独立基礎をコンクリートで巻いてつなげて「なんちゃって布基礎」にしろ等の工事を強制されることになるのではと危惧する次第です。
単体規定は都市計画区域内であろうと区域外の山の中であろうと関係なく適用されますから。
山林の中にあって誰の目にも触れないからと思っても、ネットで情報を発信していると目を付けられてしまうことになるのでしょうね。

私は10平方メートル以下の小屋ではあるが本人申請による確認申請を行い、確認通知書を受け取ることで安心生活を手に入れたいと思う。
後日、二期工事三期工事として10平方メートル以下の2度の増築を行い、最終面積の計が20㎡ほどの小屋を考えておりますが、この際には都市計画区域内の増築で、確認申請が不要になるということでもあります。(増築回数に定め無し)
もちろん、基礎は足固めをした独立基礎として関連法に則って施工する予定であることは、言うまでもありません。
 
公的年金の考察
2015.12.08
いつでも社会に戻って収入を得、社会的な生活に戻ることが可能なセミリタイア的Bライファーとは異なり、完全リタイアをしていて自ら働いて収入を得ることの困難な下流老人的Kライファーにとっての最大の生命線は、その金額が生活保護費以下でしか無い極めて僅かな老齢年金である。

老齢年金はリタイア後に下流老人の生活を支えるための、最大で最後(多くの場合は唯一)の生命線であり、リタイア後の生活の最も重要なファクターだと考えている。
何よりも生涯にわたって受給が出来(額は減り続けると考えられるし、破綻も無い訳では無いと思うが「0」には成るまいと思う)、受給額も物価の上昇にはある程度は(下降にはシビアに)連動するからだ。
と言う訳で、現状の老齢年金受給事情を考察する。

公的年金の仕組みについての確認
日本に居住している20歳以上60歳未満の人全てが、国民年金の被保険者となっているのだそうだ。
それが3つに分けられており、サラリーマンや公務員等が職場から加入する「第2号被保険者」、第2号被保険者の被扶養配偶者で年収130万円未満の人は「第3号被保険者」、それ以外の自営業者等は「第1号被保険者」と呼ばれるのだそうだ。

また、一般に年金制度は「3階建て」と表現されており、以下の様になっている。
・1階部分=国民全員が加入している国民年金(基礎年金と言う)
・2階部分=会社員などの第2号被保険者が加入している厚生年金
・3階部分=確定拠出年金や厚生年金基金、年金払い退職給付
ここでは縁の無い3階は省き、私にも縁のある基本的な1階と2階部分の支給額のみを考えてみる。
※平成27年10月から、公務員等が加入していた共済年金が厚生年金へ一本化されている。らしい。

厚生労働省が発表した平成27年度の年金額
国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間(延480ヶ月)の長きに渡って保険料を支払った人で、何と1人月額は驚きの6万と5,008円!
また、厚生年金から夫婦2人分の標準的な老齢基礎年金を含む年金額は22万1,507円だそうだ。
この標準的モデル夫婦は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が平成27年度に年金を受け取り始める場合の給付水準だそうだが、本当にこれが標準モデルなの?

今の世の中、これだけの給料を40年間の長きに渡って貰い続けられる人が、いったいどれ程いるものなのだろうかと思ってしまう。
年収だと513万円以上になるが、私が給料を貰っていたときにはこの足元にも及ばない額だったな。

国民年金と厚生年金の平均受給額
厚生労働省年金局「平成26年度undefined厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額は平成26年度で基礎年金(国民年金)が5万4,414円、厚生年金では14万4,886円と、厚生年金額が国民年金額の約2.7倍となっており、2階部分の厚生年金は9万500円程が上乗せされていることになる。
また、国民年金のみで厚生年金の受給権を持たない人の平均は4万9,944円となっており、かなりの低い水準となっている様だ。

ちなみに私はと言うと、基礎年金に若干の2階部分があり、国民年金の40年満額より若干の上乗せがあって、まあ、そんなものなんだろうなと思っている。

国民年金の1カ月あたり平均受給額
上記の厚生労働省年金局「平成26年度undefined厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、国民年金受給権者の月額受給金額をまとめたものがある。
これを見ると、全体としては月額6万円台を受給している層が一番多く、また全体の半分以上が5万円以上の受給となっている様で、平均額は5万4,414円となっているらしい。

ただし、これは先の資料と合わせて読む限り「国民年金受給権者=国民年金のみ」の受給者では無く、これに2階部分(厚生年金)の受給権を持つ人が加算されて受給額を押し上げているのでは無いかと思われ、厚生年金の受給権を持たない人の平均は4万9,944円と低くなっているのだろうと思われる。

厚生年金の1カ月あたり平均受給額
上記の資料には、国民年金と同様に厚生年金受給権者の月額受給金額をまとめたものもある。
先にも書いた通り、厚生年金は国民年金の基礎部分に加えて2階部分が支給されており、国民年金より支給額が多くなっていて、厚生年金の平均受給額は月14万4,886円と国民年金のみの約2.7倍となっているのは先にも書いた。
もちろん、現役時代に支払った保険料も厚生年金は高額であり、会社からの負担もあるためだ。

結論
こうした現時点での年金受給権を持つ人の受給平均額を見て思うのは、多くの人にとってはこれらの年金の受給額だけでは老後の生活はまかなえそうには無いということであり、しかも、将来的にはさらに年金受給額は減る傾向にある現状・惨状だ。
とは言っても、これらの公的年金は一生涯受給できる大切な収入なのだから、 まだこれから受給できる年金額を増やすことが出来る可能性のある人たちには、自ら独自の老後の資金計画を立てることをお勧めしたいと思うが、すでに老境に片足を突っ込んで下流老人と成る私には、別の防衛策が必要になるのだと考えている。

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