公的年金の考察
2015.12.08
いつでも社会に戻って収入を得、社会的な生活に戻ることが可能なセミリタイア的Bライファーとは異なり、完全リタイアをしていて自ら働いて収入を得ることの困難な下流老人的Kライファーにとっての最大の生命線は、その金額が生活保護費以下でしか無い極めて僅かな老齢年金である。

老齢年金はリタイア後に下流老人の生活を支えるための、最大で最後(多くの場合は唯一)の生命線であり、リタイア後の生活の最も重要なファクターだと考えている。
何よりも生涯にわたって受給が出来(額は減り続けると考えられるし、破綻も無い訳では無いと思うが「0」には成るまいと思う)、受給額も物価の上昇にはある程度は(下降にはシビアに)連動するからだ。
と言う訳で、現状の老齢年金受給事情を考察する。

公的年金の仕組みについての確認
日本に居住している20歳以上60歳未満の人全てが、国民年金の被保険者となっているのだそうだ。
それが3つに分けられており、サラリーマンや公務員等が職場から加入する「第2号被保険者」、第2号被保険者の被扶養配偶者で年収130万円未満の人は「第3号被保険者」、それ以外の自営業者等は「第1号被保険者」と呼ばれるのだそうだ。

また、一般に年金制度は「3階建て」と表現されており、以下の様になっている。
・1階部分=国民全員が加入している国民年金(基礎年金と言う)
・2階部分=会社員などの第2号被保険者が加入している厚生年金
・3階部分=確定拠出年金や厚生年金基金、年金払い退職給付
ここでは縁の無い3階は省き、私にも縁のある基本的な1階と2階部分の支給額のみを考えてみる。
※平成27年10月から、公務員等が加入していた共済年金が厚生年金へ一本化されている。らしい。

厚生労働省が発表した平成27年度の年金額
国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間(延480ヶ月)の長きに渡って保険料を支払った人で、何と1人月額は驚きの6万と5,008円!
また、厚生年金から夫婦2人分の標準的な老齢基礎年金を含む年金額は22万1,507円だそうだ。
この標準的モデル夫婦は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が平成27年度に年金を受け取り始める場合の給付水準だそうだが、本当にこれが標準モデルなの?

今の世の中、これだけの給料を40年間の長きに渡って貰い続けられる人が、いったいどれ程いるものなのだろうかと思ってしまう。
年収だと513万円以上になるが、私が給料を貰っていたときにはこの足元にも及ばない額だったな。

国民年金と厚生年金の平均受給額
厚生労働省年金局「平成26年度undefined厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額は平成26年度で基礎年金(国民年金)が5万4,414円、厚生年金では14万4,886円と、厚生年金額が国民年金額の約2.7倍となっており、2階部分の厚生年金は9万500円程が上乗せされていることになる。
また、国民年金のみで厚生年金の受給権を持たない人の平均は4万9,944円となっており、かなりの低い水準となっている様だ。

ちなみに私はと言うと、基礎年金に若干の2階部分があり、国民年金の40年満額より若干の上乗せがあって、まあ、そんなものなんだろうなと思っている。

国民年金の1カ月あたり平均受給額
上記の厚生労働省年金局「平成26年度undefined厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、国民年金受給権者の月額受給金額をまとめたものがある。
これを見ると、全体としては月額6万円台を受給している層が一番多く、また全体の半分以上が5万円以上の受給となっている様で、平均額は5万4,414円となっているらしい。

ただし、これは先の資料と合わせて読む限り「国民年金受給権者=国民年金のみ」の受給者では無く、これに2階部分(厚生年金)の受給権を持つ人が加算されて受給額を押し上げているのでは無いかと思われ、厚生年金の受給権を持たない人の平均は4万9,944円と低くなっているのだろうと思われる。

厚生年金の1カ月あたり平均受給額
上記の資料には、国民年金と同様に厚生年金受給権者の月額受給金額をまとめたものもある。
先にも書いた通り、厚生年金は国民年金の基礎部分に加えて2階部分が支給されており、国民年金より支給額が多くなっていて、厚生年金の平均受給額は月14万4,886円と国民年金のみの約2.7倍となっているのは先にも書いた。
もちろん、現役時代に支払った保険料も厚生年金は高額であり、会社からの負担もあるためだ。

結論
こうした現時点での年金受給権を持つ人の受給平均額を見て思うのは、多くの人にとってはこれらの年金の受給額だけでは老後の生活はまかなえそうには無いということであり、しかも、将来的にはさらに年金受給額は減る傾向にある現状・惨状だ。
とは言っても、これらの公的年金は一生涯受給できる大切な収入なのだから、 まだこれから受給できる年金額を増やすことが出来る可能性のある人たちには、自ら独自の老後の資金計画を立てることをお勧めしたいと思うが、すでに老境に片足を突っ込んで下流老人と成る私には、別の防衛策が必要になるのだと考えている。

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