充放電制御装置
2016.02.29
充放電制御装置(チャージコントローラ)ついて、機能の説明と使用しているものについて記録する。

私は充放電制御装置がオフグリッド型太陽光発電においての肝だと考えており、強いこだわりがある。

充放電制御装置はPV(太陽電池)アレイとバッテリーの間に接続して充電と放電の制御を行う装置であり、PVアレイが発電しない夜間や発電量の少ない悪天候時に電流がバッテリーからPVモジュールに逆流しない様にコントロール(PVモジュールにも逆流防止ダイオードが付いている)し、バッテリーの過充電や過放電を防止して効率の良い充放電のコントロールを行う装置である。
方式は充電効率95%以上とロスが少ないMPPT(最大電力追尾)方式と、一般的なPWM(パルス幅変調)方式に大別される。

チャージコントローラ(充放電制御装置)の機能
チャージコントローラには、一般的に下記の様な機能があるので、システムに応じて最適なものを選ぶことが肝要であると考えている。
・充電制御:PVモジュールからバッテリーへの充電電圧を自動制御して、バッテリーの過充電を防止する。
・放電制御:バッテリーの電圧低下による負荷の遮断と負荷の自動再接続を行い、バッテリーの過放電を防止する。
・バッテリー設定:密閉式や非密閉式バッテリー、あるいはそのバッテリー特性に合わせて設定する。
・温度補正:内蔵または外付けのサーミスタなどによって温度補償を行い、さらにはバッテリーの温度を感知して充電電圧を補正し、より最適な充電制御を行なうことが出来る。
・逆流防止:夜間・雨天等の低照光時において、バッテリーからPVモジュールへの電流の逆流を防止する。
・夜間タイマー:PVモジュールの発電状態から日没や日出を検知し、負荷接続を自動的に制御する。
※機種によって機能の有無が異なり、使用の前に各商品の説明書やカタログにて確認が必要である。

チャージコントローラの選び方
結論から言うと、充電効率95%以上を得られるMPPT(最大電力点追尾)方式のチャージコントローラを選択すべきであると考える。
価格はそれなりに高いが95%以上の充電効率が得られるという事は、充電効率が80%のコントローラに比べてPV(太陽電池)アレイの面積が15%アップしたのと同等であると言うことだからだ。
これは、限られた条件でなるべく多くの果実を得たいと考える独立型太陽光発電にとっては大きな味方だと言って良いと私は考える。

チャージコントローラに必要な仕様は、PVモジュールの短絡電流以上の電流の入力に耐えられることとチャージコントローラの最大入力電圧がPVモジュールの開放電圧以上であることであるが、PVモジュールの電圧とのマッチングで制約(ロス)の多いPMW方式とは異なり、MPPT方式では最大入力電圧が十分大きいことで、PVモジュールが系統連携用であろうとオフグリッド用であろうとも、気にせず選ぶことが可能となる。

要するに、MPPT方式のチャージコントローラと系統連携型用と言われるPV(太陽電池)モジュールを 組み合わせることによって、より効果的な発電を行うことが可能になり、これはMPPT「入力電圧×入力電流=出力電圧×出力電流」の成せる技である。

以下に、簡単にMPPT方式の充電段階にも触れておく。 ※TS-MPPT-60の取説より抜粋
・バルク充電:太陽電池アレイから得られる電力の100%をバッテリーへ送るモード。
・吸収充電:バルク充電が終了したあと、あらかじめ設定された閾値(電圧)を超えると、電流を制限して電圧を一定に保つモードであり、加熱や過剰なバッテリーガスの発生を防ぎつつゆっくりと満充電に向けて充電を行い、バッテリーはこの吸収充電時にほぼ満充電となる。
・フロート充電:長期の過充電からバッテリーを守るために電圧を調整するモードであり、満充電になると化学反応が停止して充電電流は熱やガスとなる。
同時に、ごく低い電圧で微弱な電流を流してメンテナンス充電(満充電の状態を維持する充電)を行う。
・均等化充電:高い電圧を用いてバッテリーのセル間のレベルを整えるモードであり、バッテリー能力やバッテリーの寿命に重要な影響を与えるステップで、硫酸結晶の硬化を防ぐことが出来る。
なお、サイクルバッテリーは酸化現象の影響を受け易いバッテリーなので、このモードが重要である。
均等化充電はバッテリー電圧を標準的な吸収充電よりも高い電圧で充電し、そのため電解ガスが発生するので注意が必要である。


以下に私の充放電制御装置の使用履歴を記録するが、SS-MPPT-15LとTS-MPPT-60である。
MPPT方式で、カタログの最大充電変換効率は それぞれ97.5%、99%と記載されている。
中国製の「何ちゃってMPPT」は、どんなに安くたって購入しない。
名前だけのMPPTであることは先刻お見通しであり、安いとしてもその金は捨てたことと同じだと考えるからだ。
ちなみに効率よく運転するためにはRTS(リモート温度センサー)の設置は必須であり、構造的にバッテリー温度と本体に付属する温度センサーの温度差は驚くほど大きくて、これがコントローラーの効率を著しく損なう様だ。

SS-MPPT-15L (MorningStar社) 並行輸入品

TS-MPPT-60 (MorningStar社) 並行輸入品

どうせなら日本語の取説の付いた物が欲しいと思ったのだが、あまりにも販売価格が違いすぎた。
どのみちネットショップでの保証なんて期待はできないだろうし、そもそも簡単には壊れない商品なのだろうと考えた。
ちなみに英文の取説に書かれている保障期間は5年間だ。

中国製インバータの壊れた話は、自分が使用していた物も含めてネット上にはゴマンと溢れているけが、「TS-MPPT-60」の壊れた話はまるで聞いたことが無いし、記事を見た記憶もない。
とすれば、日本語の取説の付いた「TS-MPPT-60」の価格というのは一体全体、どう言う訳なのだろうか?
アメリカでの価格は概ね500ドル程で、アマゾンの並行輸入品での7~8万円は、円安の進む昨今ではそんなものなのだろうと思う。
しかし、日本語の取説付きとなると、いきなり5万円もの金額が上乗せされてしまっている。
自由経済下においては、需要と供給のバランスで価格が 決まるのだそうだから、どんな価格を設定しても問題は無いのだろうが、やはり釈然としない。

そこで一念発起。
「どれだけ時間がかかっても英語版マニュアルを和訳してやろう 。」と考え、購入した「TS-MPPT-60」の取扱説明書の和訳に挑戦してみた。
これまでの「SS-MPPT-15L」での経験の積み重ねや、情報の蓄積、ネットでのさまざまな「TS-MPPT-60」の使用情報を見ながら、専門用語が多いこともあって思ったより簡単に和訳ができた。

しばらくは英語版マニュアルの図や表を見ながら、和訳をした文章を読んでいたが、だんだん面倒になり、和訳した文章に英語版マニュアルから図表を切り出して貼りつけ、私家版「設置・取扱説明書」としてまとめてみた。

英文のオリジナル風に出来上がり、これで約5万円の節約となってとても気分が良い!!

和訳して分かったのは、「TS-MPPT-60」には「SS-MPPT-15L」には説明が十分では無く、疑問に思っていた情報が多多含まれており、より知識が深まったのは幸運だった。
やはり、苦労はしてみるもの。
「TS-MPPT-60」のマニュアルの内容は「SS-MPPT-15L」に比べてページ数は2倍も無いのだが密度が全く異なり、体感的には4~5倍は濃い様に感じた。
 

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